関西と長野を結ぶ新たな地域共創!ワーケーションがつなぐ未来のカタチ「信州とガチで対話する~これからのヒトモノコトの交流Vol.2」レポート記事
事例紹介
最近信州には、地域の人を巻き込んで新しいことを始める関西ゆかりのビジネスパーソンが増えてきている。「もっと結びつきを強くすれば面白い化学反応が生まれるのでは?」という想いから、信州リゾートテレワークは2024年2月1日に関西で初めて対話型ミートアップイベントを開催しました。2月に開催したVol.1が好評だったことにつき、Vol.2を2024年8月19日に大阪・福島にあるコワーキングスペース「GRANDSLAM(グランドスラム)」で開催!その様子をレポートします。
Vol.1の様子はこちらをご覧ください。
信州と大阪の“こころ”の距離がぐっと縮まった一夜!「信州とガチで対話する~これからのヒトモノコトの交流」レポート記事
今回は、プレイヤーピッチの前後に交流会を開催するイレギュラーな形式で、前回よりも交流の時間を多めに設定!長野にゆかりのある関西在住の方、長野でワーケーションをしたことがある方、県職員の方、そしてなんと!今回は長野県の阿部守一(あべ・しゅいち)知事も長野県から駆けつけました。
<プログラム内容> 1.アイスブレイク交流会〜長野名産のお菓子とドリンクを片手に〜 2.イントロダクション〜関西から見た長野とは?〜 3.信州プレイヤーピッチ〜プレイヤーが長野での活動を紹介〜 4.大交流会〜大阪と信州がつながる夜〜(会費制・お酒提供あり) |
長野・信州の名産品を味わいながら、深まる交流の輪
今回のイベントのコンセプトは「交流」です。信州で活躍するプレイヤー、つながりを創りたい人が互いを知り、縁を結ぶことが目的。
交流会の始めの挨拶は長野県知事から。「大阪の良さとはまた違う素晴らしさが信州にはあります。ぜひ今日はそういうものを聞いて、感じて、知っていただいて、ぜひ信州リゾートテレワークに来てもらえればありがたいです」という言葉とともに交流会がスタートしました。
イベントが開始して数十分足らずで会場は熱気に包まれました。
方々で名刺交換をしたり、お互いの活動について話し込んだりする様子が伺えました。
会場も和やかになったところで、プレイヤーピッチの時間に移ります。トップバッターは、前回同様に全国のワーケーション推進活動を行う「一般社団法人日本ワーケーション協会」の代表理事である入江さん。
入江 真太郎(いりえ・しんたろう)氏 長崎生まれ。幼少期には東北や関東、学生時代は四国と関西地方に暮らす。京都・同志社大学社会学部卒業。現在は大阪府在住で京都を事業拠点とする。(株)阪急交通社等で旅行業他様々な業種を経験後、ベンチャー企業から独立起業を経て、観光事業やその他海外進出支援事業等を展開。北海道から沖縄まで、各地と関わりを深めていく。各地で暮らした経験から地域共創や豊かなライフスタイルや働き方の実現に関心が高い。2022年より信州リゾートテレワーク・コーディネーターとして、関西と信州の往来を頻繁に行っている。子ども環境情報紙エコチル西日本エリア開発室長。 |
関西からみた長野の魅力について入江氏は次のようにコメント。
「関西に居住されている方は、首都圏のように満員電車が大変といった不満をもつ方は少ないかもしれませんが。しかし、夏が暑いなど気候面で生活しにくいと感じる方はいらっしゃるのかなと思っています。西日本には標高2,000mを超える山がありません。長野は標高が高いため、夏も快適に過ごせます。避暑しながらテレワークをするのにはうってつけの場所かなと思いますね」
さらに続けて「また、長野県は日本で4番目に大きい県であり、地域によって歴史もカラーも異なるところはとても面白いポイントだなと思っています。今日は、立科町、飯田市、千曲市の3地域で活動している方が来られているので、ぜひそれぞれの特色や魅力を感じてもらえればと思います」と入江氏。
長野3地域のキーパーソンが語る、地域づくりのカギ
次のセクションでは、実際に立科町、飯田市、千曲市の3地域で活躍されているキーパーソンの渡邉氏、中川氏・折山氏、山崎氏の4名に、活動や各地域の魅力について語っていただきました。
渡邉氏は、長野県中野市出身で、その後立科町へ移住。現在は立科WORK TRIPコーディネーターとして、ワーケーションの開催を誘致する事業を行っています。また、2024年8月には「一般社団法人日本ワーケーション協会」が開催するワーケーションコンシェルジュアワードにて、「TOP of ザ・ワーケーションコンシェルジュ」を受賞しました。[1]
渡邉岳志(わたなべ・たけし)氏 (株)信州たてしなDMC/立科WORK TRIPコーディネーター。 長年働いた広告業界から観光業へ転身→拠点を長野市から、標高1,500mの白樺高原に移し、新規事業開発やエリアプロモーションを展開。MV、CM、映画等各種撮影案件のロケコーディネーターとしても活躍している。ワーケーション利用者のご要望に沿ったプランを最小のやりとり&最速でコーディネート。延べ1000名以上の企業合宿型をコーディネート。行政とタッグを組んで、ワークマシマシ、成果がっつりの開発合宿・オフサイトミーティング・アイデアソンなど、会社に稟議を通しやすいワーケーションを提案中。 |
「立科と蓼科はよく混同されます。そもそもの名前がついた経緯をいうと、1955年に3つの村が合併して町になる際に、地域のシンボルでもある『蓼科山』の名をとって町名を決める予定でしたが、しかし当時「蓼」が常用漢字でなかったために立科町となりました」と渡邉氏。
その後、茅野市にある蓼科高原が高級別荘や高級ホテルの開発エリアとなり、大々的にプロモーションが打たれました。その影響で蓼科の方が認知度が高くなったという背景があるそうです。
続けて、渡邉氏が「ちなみに、そんな立科町の日本一を探してみたら、日本一折れやすい町であること。南北に細長い形をしていて、市町村版パズルでも細すぎて作れないみたいです。最峡部の幅はわずか53.3mだから、頑張って反復横跳びすれば3つの市町村に行けますよ(笑)」と話すと、会場はドッと笑いに包まれました。
自虐的にユーモアを混ぜながら立科町を紹介しつつも、立科町には実に多くの魅力があると渡邉氏は話します。
「まず涼しく快適です。一番高いところでは標高2,531mもあります。ちなみに高原エリアのエアコン普及率はわずか3.6%。夏にワーケーションや休暇でゆっくり過ごすには本当におすすめですよ」
実際に、渡邉氏は2016年からオフサイトミーティング、開発合宿、越境学習、チームビルディングなどの企業型ワーケーションの誘致に取り組んでおり、関西からの参加者を含め年間500名以上の方が来ているとのこと。
さらに「リクエストをもらえれば、交通手段やオフィス環境、宿泊施設、食事など最適なプランをコーディネートさせていただいています」と渡邉氏。
続いて、登壇するのは飯田市で活動する折山氏と中川氏。折山氏は新潟県上越市出身で、その後、飯田市に移住されています。
折山尚美(おりやま・なおみ)氏 合同会社nom 代表社員。新潟県に生まれ南信州に移住。病院勤務ののち、ホリスティック医療「スリランカ政府認定アーユルヴェーダインストラクター・プロフェッショナルアドバイザーオブハーブ」を取得。予防薬としても活用される薬草や野草、季節の野菜など使った飲食店を経営。 「土に還る」を事業の主体にし、地域資源の新しい活用提案や空き家・文化財の活用など、関係人口と地域の繋げ役を担っている。 合言葉は「ごはんだよー」地域コミュニティや豊かさや幸福感を食事によって表現している。その中から生まれる様々なアイデアで100年先まで描ける事業を展開する。 |
中川めぐみ(なかがわ・めぐみ)氏 インテリアとグラフィックのデザイン制作を中心に活動。トロント在住中、ニューヨークやモントリオールに行き、様々な文化やデザインに触れ知見を広げる。帰国後、南信州での事業を皮切りに空間作りを通して街に新しい景色を作っていくことを理念に再スタートを切る。この夏、飯田市に新たな拠点「サテラス」の開業準備中。 |
飯田市は長野県の南信州地域で、他と比べると積雪量が少ないエリアといわれています。また、人の雰囲気も、どちらかといえば柔らかくておおらかな人が多いのだそう。
「私が活動する天竜峡エリアは、和船川下りや日本舞踊、地域のお祭りなど伝統的な文化や風土が残る場所です。現在、限りある地球資源を有効活用する事業や、次世代へ文化や事業を継承する取り組みなどを行っています。例えば、シェアカフェ『テンリュウ堂』で月1回開催している[OKATTE]は、何か地域でチャレンジしたいけど何から始めれば良いかわからない、一緒に事業をする仲間を見つけたい、飯田に住みたいなど、様々な思いをもった人が集まるコミュニティになっています」と折山氏。
現在は、この『テンリュウ堂』を起点に、Z世代が主体となって運営されている学生団体「イノベーションdot」との交流が生まれ、伝統文化を継承する取り組みが始まったり、その他には南信州と東京をつなぐマーケットイベント「U Know? Market(ユーノウ? マーケット)」を開催したりなど、様々なプロジェクトが生まれています。
中川氏は、富山県出身で現在東京に在住。これから飯田市にも拠点を構えるべく、新しいサテライトオフィスを折山さんとともにオープンする予定です。
「『安東家屋敷』は、大正の終わりから昭和の初め頃に建てられた古民家で、飯田大火があった際にも残った貴重な歴史的建造物の1つです。ここを利活用し、『サテラス』というシェアオフィスをオープンさせる予定です。このあたり一帯は、すごく静かで情緒溢れる場所なので、ぜひ長野県外の方にもゆっくり歩いて歴史を感じてもらいたいですね。」と中川氏は語ります。
最後のプレゼンターは千曲市の山崎さん。千曲市役所に就職し、2024年4月に独立。その後、Vol.1で登壇した田村氏が代表を務める株式会社ふろしきやに参画しています。
山崎 哲也(やまざき・てつや)氏 みたみたらしらし代表、株式会社ふろしきや火付け役。 関西の大学卒業後、地元千曲市役所に就職。障害者福祉6年、ゴミ焼却施設の建設プロジェクト7年、産業振興課で中心市街地活性化等のプロジェクトに携わり、千曲市ワーケーション事業を企画。2020年より信州千曲観光局へ出向し、主に企画担当。スナックを中心としたまちおこし事業「NEOネオン」や、ちくま市モビリティーFESなど企画運営。2023年しなの鉄道へ出向。販売促進を担当し、スナックトレイン等企画。2024年4月に独立し、世の中を甘っじょっぱくするプロジェクト「みたみたらしらし」開業。同年ふろしきや入社。千曲市ワーケーションは2019年の第1回から現在に至るまで企画運営に携わっている。 |
千曲市は長野県北部に位置し、長野市と上田市に挟まれた場所にあります。現在、山崎氏が参画するふろしきやがワーケーションを行っているのが戸倉上山田温泉です。県内最大級の温泉街であり、50以上の源泉から毎分8,300リットル超のお湯が湧き出ます。
「現在、温泉街には150件を超える飲食店があります。そのうち100件がスナックで、昭和レトロな街並みがそのまま残っています。お座敷文化もあって、全盛期は400人ほどの芸者さんがいました」と山崎氏。
このエリア一帯では、成人式の一次会はスナックに行くほど社交文化が根付いているそう。地域の人、地域外の人とともにこの文化や街の景色を10年後、20年後にも残したいという思いから、スナックを中心とした町おこし事業「NEOネオン」を始めたと山崎氏は語ります。
「少しでもスナックの文化に触れてもらうべく、間借りスナック『アイドリングスナック水溜り』を作ったり、スナック体験ツアーや、しなの鉄道株式会社と協働で列車を貸し切ったイベント、スナックTRAIN『NEOネオン号』を開催したりといった取り組みを行っています」
プレイヤーピッチは、最後、長野県の阿部守一知事からの言葉で締めくくられました。
「長野県は市町村数が77もあります。最南端の天龍村はお茶の産地、北には栄村や小谷村などの豪雪地帯があり、多様性に富んでいます。一言で語り尽くせないのが長野県の魅力。
また、長野県は日本一の称号を複数もっています。1つが平均標高1,033m、そしてもう1つが村の数です。小さな自治体には様々な課題がありますが、逆にいえば自分たちで地域を良くしていくことができます。
そんな信州に来てもらえれば、自分が埋没することなく、色んな人とつながれますし、またしっかり自分と向き合えて自分らしいことができる。それが長野県です。
今後も、長野県はリゾートテレワークを推進していきますし、できるだけ多様な人たちを受け入れる、寛容な地域であり続けたいと思っています」
長野の魅力と事業の夢を語り合う。地域を超えた出会いが生まれる
プレイヤーピッチが終わったあとは、このイベントの本番である交流会へ!
お酒を片手にじっくりトーク。さらに詳しく長野・信州の話をしたり。
自分のやりたいことや事業の話に花を咲かせたり……あっという間の1時間半。
同じような志や思いをもった人が集まった空間だからか、やはり話のネタは尽きないもので、みなさん会場のクローズ時間ギリギリまでいらっしゃいました。
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今回のVol.2も無事、大盛況で閉幕しました。
信州リゾートテレワークは、これからも県内外のビジネスパーソンとの多様な交差点を生み出していきたいと考えています。同サイトや公式SNSを通しての今後の発信にもご期待下さい。