家族との時間をつくるリゾートテレワーク/デジタルワレット

事例紹介 

リゾートテレワークをどこでやるか。アクセスや施設の内容、料金…、さまざまな判断軸がありますよね。株式会社デジタルワレットの代表取締役 宮川英治さんの場合は「元同僚がコワーキングスペースをはじめたこと」をきっかけに富士見町との縁がうまれ、リゾートテレワークを長らく継続的に開催されています。宮川さんの開催までの経緯や思い、そして社員の吉野ジュディー歩さんにはリゾートテレワーク中の過ごし方について伺いました。

共に新しい一歩を歩む元同僚への「ご祝儀」だった「富士見 森のオフィス」への入居

―「富士見 森のオフィス」を運営している津田さんとは長いお付き合いだそうですね?

元々、津田さんとはソニーの技術開発部に在籍していたときに、一緒のチームで働いていました。たまたま同僚になったわけではなく、津田さんの能力を見込んで、僕が一緒に働かないかと声をかけたのがはじまりなんです。もうそこから15年くらいの付き合いですね。

デジタルワレット代表取締役 宮川英治さん

―「富士見 森のオフィス」とつながりがはじまったのはいつごろだったか覚えていらっしゃいますか。

はい、覚えていますよ。「富士見 森のオフィス」は富士見に移住した津田さんが、2015年に町役場との協働で立ち上げたのですが、オープン当時、「オフィススペースへの入居企業を探しているけどIT企業に入ってほしくて是非」と相談を受けて。

僕は2014年に起業したばかり。そのときは支店を持つつもりはなかったし、経営的に余裕があったわけではなかったのですが、独立して新しい一歩を歩み始めている津田さんへのご祝儀のような気持ちで、「富士見 森のオフィス」への入居を決めました。

元々子どものころからスキーをやっていて、富士見にも何度か行ったことがあったので土地勘はあったんですよ。津田さんがやるスペースで、あの場所だったら環境もいいだろうな、と直感的にも思いました。

「森のオフィス」前で

―「富士見 森のオフィス」への入居後、デジタルワレットさんではどのようにスペースを活用されたのですか?

オフィスを構えるからには、現地採用して富士見のチームを作ろう、と思いました。

ただ、新卒採用を含めて、真剣に採用活動をやりましたが、エンジニアやデザイナーの採用がとても難しかったですね。内定を出してもベンチャーだからという理由で親ブロックにあい、選んでもらえないことも。

そんな紆余曲折を経て、いま「富士見 森のオフィス」にはバックオフィス業務を担うメンバーが在籍しています。ほぼ全員が子育て中の女性もしくは主婦です。

長い間、採用活動をしているなかで気づいたのが、長野は女性の働く環境があまり整っていないということ。すごく素晴らしいキャリアを積んでいても、女性は家に“いさせられる”傾向にあるんですよね。長野勤務の夫に同伴するために仕事を辞めていたり、フルタイム勤務だと家族から反対されたり…。

そこで、子どもが保育園にいる間の5時間だけといった、柔軟な働き方を整えたら、ものすごく応募がありました。

「森のオフィス」コワーキングスペース(提供:森のオフィス)

社長に聞く、オンとオフを完全に切り離さない「家族と過ごすリゾートテレワーク」の意義

―デジタルワレットさんでは、東京オフィスの方も富士見に訪れてリゾートテレワークする機会を設けていると聞きました。実施の意図は?

当社では、夏と冬に「富士見 森のオフィス」と隣接する宿泊施設「富士見 森のオフィス Living」でのリゾートテレワークを行なっています。宿を調整して、一定期間リゾートテレワークできる環境を設け、その期間に行きたい社員が参加するかたちです。富士見では各自の業務をし、行き方や過ごし方もそれぞれ自由です。

いま、ワーケーションを社員同士のチームビルディングといった使い方をすることが結構多いと思うのですが、当社ではそうではなく、家族との時間を過ごす時間としてのリゾートテレワークを推進しています。

―家族と過ごす時間としてリゾートテレワーク、ですか?

子どもと接しながら仕事もできる…そんな環境ですね。

例えば、家族を同伴して富士見に行って、子どもはキャンプしていて、親は夕方4時に仕事を終わらせてそのままバーベキューへ…といったイメージ。

リゾートテレワークなら、東京にいるときのように通勤時間がなく、オンとオフを完全に切り分けない生活ができます。子どもにとっても、夏休みにお父さんやお母さんが不在がちといった家庭を作らずにできると思うんです。

BBQを楽しむ参加メンバー

―家族を大事にしながら働くというのは本当に大切だとは思うんですが、それを社としてプッシュするのは珍しい気がします。その動機はどこにあるのでしょうか…?

親世代はいわゆる昭和のサラリーマンでしたから、僕が子どものころ、親が勤務している会社の社員旅行に家族が同行することもありました。でも、旅行中も会社の人間関係が影響していて、親が上司の“お付き合い”で外していることもあったんですよ。

そんな思い出や私自身も子どもがいるので、2泊3日でどこかに社員旅行で滞在するのもいいのですが、その裏で「配偶者が3日も不在になると、子育ての手が回らなくて困る!」と思う家庭もあるかもしれない、と。会社の事情を持ち出して家庭に負担を強いるのは違うんじゃないかなって。

「家族もバケーション来て、一緒に時間を過ごせる」そんな環境を作らないと、本人だけじゃなく家族も不幸せになってしまって、会社で働くことが幸せに繋がらないと思うんです。

―なるほど。だからこそ手を挙げた人が行くっていう形式なんですね。

そうですね。行きたくない人もいるから、それを無理強いする必要もないので、完全に希望制に。

あと当社は外国籍のスタッフも多いので、ライフスタイルが異なることも多いんですよ。そうした事情も汲みながら、開催をしているという感じですね。

社員に聞く、富士見で過ごすリゾートテレワークの効用

社員の吉野ジュディー歩さん

―ズバリお伺いします。リゾートテレワークをしてみて、どんなメリットを感じましたか?

私は10回ほど、富士見でリゾートテレワークをしていますが、やっぱり社員同士が仲良くなれる、という変化を感じますね。

当社はいま社員が増えてきていまして…、挨拶はするけどちゃんと話せていない人も出てきてしまっているんです。でも、リゾートテレワークの期間中、寝食を一緒にすることで「意外とこういうところあるんだ!」といった一面を知れて、一緒に行ったメンバーとは距離感がより近くなる気がします。

あとは、富士見は自然に囲まれた環境なので、なんだか仕事のパフォーマンスも上がりますね。

―富士見に滞在した際には、1日をどのように過ごすことが多いですか?

その時々によって過ごし方は異なるのですが、いつも3日間程度滞在しています。基本的には、「富士見 森のオフィス」で働きつつ、仕事が終わったらアクティビティ先に行って楽しむことが多いですね。

「富士見 森のオフィス」は木目調の落ち着いた空間で、窓から緑も見えて日差しが入ってくるところがお気に入りです。仲良くなったスタッフの方と近況をお喋りする時間もリフレッシュになります。

宿泊は隣接する「富士見 森のオフィス Living」に。1棟貸しで社員だけでの空間なので、夜は庭でバーベキューをしたり、みんなでお酒を飲んだりと、気兼ねなく過ごすことができます。

家族も一緒にアクティビティを楽しむ

―アクティビティはどんなところに行かれるんですか?

当社の場合、ツアーではなく行きたい人が行けるタイミングで行くようなかたちになっていて、冬はスキー、夏は鮎釣りをしました!

あとはもう少し足をのばして上高地でハイキングをしたこともあります。私は参加しなかったですが、富士見でパラグライダーをやっていた人もいましたね。

仕事も遊びも全力で、という社風なので、富士見で充実した1日を過ごす日々はとってもわくわくします。